@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00000512, author = {八木澤, 桂介 and Yagisawa, Keisuke}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報}, month = {Mar}, note = {本研究ノートでは、筆者の専門領域であるオーディオ・ヴィジュアル(視聴覚刺激を伴うマルチ・メディア)作品の創作において、自身の創作メソッドを体系化する為の前段階的な考察として、映画監督ジャン・リュック・ゴダール(1930-)の2つの作品を分析し、彼の作品が持つ独特の「質」を作り出すコンテクストを明らかとする。この「質」にまつわる考察においては、建築家クリストファー・アレグザンダー(1936-)の建築哲学を軸としている。アレグザンダーは、自身が執筆した建築・都市計画についての理論書『パタン・ランゲージ』(1977年、邦訳 1984年)の中で、環境(建築、都市)において人々が「心地よい」と感じる要素を分析した上で、 253の具体的なパタンとして記述し、これを「パタン・ランゲージ」と呼んだ。この著書の中で、彼は建築を詩に例えており、単語が組み合わされることでディスクールが形成され、濃密な詩が生まれるように、このパタンをまさに「言語」として用いることで、心地よい質を持つ建築物やコミュニティが形成可能であると述べた。また、本書の前書きにて述べられているパタン・ランゲージの基本哲学として、実例としてのパタンは、どれも孤立した存在ではなく、互いに依存し合う中でコンテクストを形成し実体が現れ、更にそれらパタンが複雑に絡み合うほどに全体性としての実体に「深遠さ」が増すと述べられている。筆者は、オーディオ・ヴィジュアルの創作においてもこの「質」や「深遠さ」が重要であると考え、視覚と聴覚メディアで表現されるという共通性、更には現代芸術としての芸術性の高さから、ジャン・リュック・ゴダール(1930-)映画作品の分析を行った。そして、ゴダール作品に潜む特有のパタンを見い出し、彼の映画が持つ独特の「質」を作り出すコンテクストを明らかにすることを目指した。筆者が、分析対象としてゴダール作品から選出したのは、当時新しいテクノロジーであるヴィデオを活用しながら、前衛的な試みが見られた作品《ヒア&ゼア こことよそ》(1974年)及び、とりわけ音響編集において新たな試みがなされた作品《ヌーヴェル・ヴァーグ》(1990年)の2つである。それぞれの分析の結果、互いに共通する構造として、形態的類似による素材の連結という共通手法が明らかとなった。形態的類似による連結とは、視覚における形象や色彩、聴覚における音響・音程・律動といった諸要素にみられる形態の類似性を用いて、それらを連続的に配置することでシーンを連結させ、シークエンス、あるいはディスクールを構築するというものである。そして鑑賞者は、この創作手法から、解釈における内的な思考プロセスを経て、その軌跡に同一のコンテクストを見い出し、ゴダール特有の質を感じ取るのではないか、という結論を述べた。同時に、ゴダールが用いたこの手法が、オーディオ・ヴィジュアルの創作手法として応用可能であるとの考察に至った。, 5, KJ00010210823, 研究ノート}, pages = {65--73}, title = {ジャン=リュック・ゴダール作品の分析 : パタン・ランゲージへ向けて}, volume = {28}, year = {2016}, yomi = {ヤギサワ, ケイスケ} }