@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00000510, author = {今野, 哲也 and Konno, Tetsuya}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報}, month = {Mar}, note = {本論文は、一般に「半減7の和音」や「導7の和音」などと呼ばれる「集合体」を対象に、その多義性を類別・検証するものである。たとえばR.ヴァーグナー(1813-1883)の《トリスタンとイゾルデ》(1857-59)の第2小節の第1~5拍は、a-mollの増6の和音が属和音へ解決する際、増6への倚音により、元の形体が一時的に変容する「偶成」(「トリスタン和音」)と捉え得る。またC.ドビュッシー(1862-1918)の《牧神の午後への前奏曲》(1891-94)の第4小節の第4~9拍は、gis-mollのii度音上の7の和音や、H-durの属9の和音の根音省略形(よってE-durのドッペルドミナント)などと分析される、音階固有音の3度累積による4音の「和音」である。両者は同じ構造を持ちながら、その和声的理解は全く異なる。この構造は多様な様相を呈し、ときに和声分析の混乱を引き起こしている感は否めない。このとき、なぜ共通の構造の下に理解の差が生じるのか、その理解にはどれだけの幅があるのか、何がこうした状況を招いているのかなどの疑問が生じる。以上の問題を考察すべく、本稿はこの構造の現れ方を網羅的に検証し、理論的かつ体系的な類別を試みる。そしてより複雑な扱いが要求される「偶成」の「集合体」を、分析ツールに概括するための基礎として理論化することを目的とする。本稿は異名同音的な読み替えで生じる「偶成」も含め、この「集合体」を「半減7の和音」(半減7)と呼び、島岡の『総合和声』(1998)に基づき、その一部を展開した和声理論に準拠しながら考察を進める。 独自のデータベースに基づき、「和音」と「偶成」の観点の下に、「半減7」諸形体・形態を検証・類別した結果、音階固有音の4和音の「半減7」からは、12の形体の可能性が導出され、「偶成」のそれは16の形態に絞り込まれた。後者には原和音の機能とも連係し得る形態、固有音内では解釈できない形態、または「偶成」としか存在し得ない形態などのタイプが認められたが、調性の語彙になり得ない原和音に基づく形態を捨象すると、「トリスタン和音」(本稿の書式では〔∨7型:半減7[偶]→属7減5[和]〕)を含む、4つ程の限られた形態に包括される。この結果から「半減7の理解の幅」は画定し得る。また「なぜ共通の構造の下に多様な理解が生じるか」の問題に関しては、従来の理論書では「半減7」の類別が明確に記述されてこなかった点を、第一には指摘できるが、むしろ本研究が重点を置く「偶成」の観点から、それが充分に理論立てて論じられてこなかった点に、根幹的な理由が見出される。したがってこの状況が「トリスタン和音」の理解をいたずらに複雑化し、あるいは分析者によって曖昧な解釈が生じるなど、さまざまな混乱を引き起こす原因であったと、本研究は結論付けるものである(これは第3の問題の結論でもある)。, 3, KJ00010210821, 論文}, pages = {33--48}, title = {「半減7の和音」の類別と原理の理論化についての試論 : 「偶成」の観点を中心に}, volume = {28}, year = {2016}, yomi = {コンノ, テツヤ} }