@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00000501, author = {長井, 進之介 and Nagai, Shinnosuke}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報}, month = {Mar}, note = {本論文は、フランツ・リスト(1811-1886)の歌曲について、複数の作品目録間で情報が一致しない作品を対象に、手稿資料や初版譜を精査し、作品の成立史を資料面から明らかにすることを目的とする。リストは改訂に際し、旋律の変更、デクラメーションの修正、伴奏の簡略化または演奏効果の付加等を行った。ピアノ伴奏を管弦楽またはハルモニウム、オルガンといった楽器に置き換えることもあり、彼の改訂は多様性に富んでいる。ペーター・ラーベやハンフリー・サール、マーリア・エックハルト、ミヒャエル・ショートらによる作品目録(以下R、S、LW、SH)を参照すると、各作品目録間には新しい情報の有無に因らない差異があり、作品の成立過程の検討に支障を来している。ピアノ伴奏稿最終稿を編曲して書かれた管弦楽伴奏歌曲を、「稿」とするか、「編曲」とするかの判断が一様でない等、作品の同一性が不明瞭なのである。こうした問題が顕著な《火刑台の上のジャンヌ・ダルク》、≪ローレライ≫、≪ミニョンの歌≫について、手稿資料や初版譜等を確認し、作品成立過程を検討した結果は以下の通りである。《火刑台の上のジャンヌ・ダルク》は、未出版であったピアノ伴奏稿第3稿が、LWの作成者であるエックハルトにより2013年10月に出版された。その校訂報告で、全ての手稿資料、出版譜に関する整理が行われ、LWの信憑性が判明した。更に同年、マリアテレーザ・ストリーノが論文を発表し、どの作品目録にも示されていなかったオルガン伴奏稿の自筆譜について言及した。この稿はオルガン・パート譜のみの為、稿の判別が困難だが、ストリーノは音型、調性、テンポといった点から、第4稿の編曲だと判定している。1856年にピアノ伴奏稿第2稿が初版された《ローレライ》は、1859年に同社、カーント社からも1860年に再版された。この再版を稿とするか否かで齟齬が生じている。3つの版を比較すると、テンポ指示の有無以外、音楽上の変化は見られない。テンポ指示の書かれた手稿資料は発見されておらず、再版時に付加されたものだと推定される為、再版については、SHのように第3稿とするのではなく、第2稿のヴァリアントとするのが妥当であろう。《ミニョンの歌》は、どの作品目録も取り上げていない、歌詞が仏語に翻訳された旋律のみの稿を、ヴァイマルのゲーテ・ウント・シラー・アルヒーフで確認し、筆者は第2稿のヴァリアントだと位置づけた。また、SHでは第4稿とされ、R、S、LWでは存在が示されていないイタリア語稿を検討したところ、音楽がピアノ伴奏稿第3稿に準拠している為、同稿のヴァリアントだと判定した。作品目録間の情報の齟齬は、再版時のテンポ指示の追加や、伴奏楽器の変更、歌詞の翻訳に対する認識の差によって生じている。作品ごとに認識のあり方が違う為に、各作品目録の情報の特徴を断定的に述べることは困難であるが、歌詞の翻訳稿に関する情報がとりわけ曖昧な点が共通していることが判明した。, 2, KJ00009835000, 論文}, pages = {17--32}, title = {フランツ・リストの歌曲における稿の問題 : いくつかの例による整理の試み}, volume = {27}, year = {2015}, yomi = {ナガイ, シンノスケ} }