@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00000483, author = {大武, 彩子 and Ohtake, Ayako}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報}, month = {Mar}, note = {ジャック・オッフェンバックJacques Offenbach(1819-1880)の遺作である歌劇《ホフマン物語Les Contes d'Hoffmann》(1881)は、同名の戯曲を原作にもつ。ジュール・バルビエJules Barbier(1825-1901)とミシェル・カレMichel Carr?(1819-1872)によって制作されたこの戯曲は、エルンスト・テオドール・アマデウス・ホフマンErnst Theodor Amadeus Hoffmann(1776-1822)作の短編小説を各幕の素材としている。《ホフマン物語》のヒロインは、一見したところ4人いる。しかし彼女たちは、そのうちの1人が残りの3人を集約させた存在である、という奇妙な設定の下に存在する。主人公ホフマンのモデルがE.T.A.ホフマンであることは広く知られる事実だが、研究者の間では、ヒロインにもモデルになった実在の女性がいると認識されている。E.T.A.ホフマンが生涯忘れられなかったその女性の名は、ユーリア・マルクJulia Marc(本名Juliana 1796-1864)という。本論文は、この"ヒロイン=ユーリア・モデル説"を検討し、新たなモデルの可能性として、彼が10代の頃に恋愛関係にあった女性ドーラ・ハットDora Hatt(本名Dorothea)の存在を指摘するものである。第1章では、E.T.A.ホフマンをモデルとした作品《ホフマン物語》の制作された理由を、フランスにおけるホフマン受容史から明らかにする。第2章では、E.T.A.ホフマンとユーリアの関係の検証を試みる。彼らの関係については当事者の主張のなかにも食い違いが生じており、何が事実であったのか正確に判断することは難しい。ただし第1章をふまえると、2人の関係は、戯曲及びオペラ《ホフマン物語》制作者たちの目に魅力的な題材として映ったであろうことが推測できる。続いて第3章では、E.T.A.ホフマンの素材作品4点に立ち返り、そこから読み取れるユーリア像を探る。ユーリアをモデルにしていることが確実なのは1作品のみで、残りの3作品に関しては、彼女の面影はみえるものの、確実性に欠けることがわかる。第4章ではE.T.A.ホフマンに焦点を戻す。ここでは、《ホフマン物語》ヒロインに適用された独特な設定の大本を、彼の若い頃の手紙に見出すことができた。C.グローセC.Grosse作『守護精霊 Der Genius』の読書体験を綴ったその手紙には、3人の女性(『守護精霊』のヒロインたち)が当時の恋人ドーラに集約される様子が記されている。これまで制作者の創作、工夫であると思われていた《ホフマン物語》ヒロインの設定は、E.T.A.ホフマンがドーラとの交わりのなかで実際に体験したものだったのだ。以上のことより、《ホフマン物語》ヒロインのもう1人の重要なモデルとしてドーラの存在が、また、ヒロインの設定が生まれるきっかけを作ったものとして『守護精霊』の存在が認められる。ただし『守護精霊』の知名度などを考慮すると、制作者たちは『守護精霊』という作品自体には触れないまま、E.T.A.ホフマンの読書体験を《ホフマン物語》制作に役立てたと考えるのが自然である。, 3, KJ00007847577}, pages = {33--47}, title = {《ホフマン物語》ヒロイン・モデルの検証 : ユーリア・マルクとドーラ・ハットに焦点をあてて}, volume = {24}, year = {2012}, yomi = {オオタケ, アヤコ} }