@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00000481, author = {加藤, 一郎 and Kato, Ichiro}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報}, month = {Mar}, note = {本研究はヨハン・ゼバスチャン・バッハ(1685?1750年 以下「バッハ」と記す)のアーティキュレーションの表現技法に着目し、その中で行われるテンポの微細な変動について考察したものである。アーティキュレーションは旋律の中の分節を明瞭に表現する技法であり、当時の文献には、その表現方法が断片的に記されている。J.G.ワルターは『作曲理論要提』の中で、歌詞に含まれるアクセントのおかれた音節の音価は拡大することに触れており、また、J.J.クヴァンツは『フルート奏法』の中で、拍内の強拍にあたる音を強調し、音価を拡大して「びっこをひく」ように奏することを勧めている。後者に付けられた譜例にはスラーが書き込まれていることから、それはアーティキュレーションとの関係を含むものと考えられる。また、実際にスラーの表現技法に触れた証言もあり、C.P.E.バッハは『正しいクラヴィーア奏法』の中で、スラーの開始音を強調することを提唱しており、L.モーツァルトは『ヴァイオリン奏法』の中で、スラーの開始音を強調し、音価を拡大するよう述べている。こうした資料を参考にし、バッハのアーティキュレーションの表現技法について具体的に検討した結果、次のことが分かった。彼が用いたアーティキュレーションの主要なパターンのうち、1拍に含まれる4音にスラーが用いられた場合は、スラーの開始音は様々な度合いで強調され、テンポの速い曲では、スラーの開始音が第2音以降と切り離されることがあった。こうした奏法は弦楽器の運弓法や声楽の母音唱と関連するものであった。点は様々な意味を持つが、点が連続して記されたパッセージでは、テンポの安定性が意図されていることが多かった。スラーが2音のペアに用いられた場合は、スラーが拍と同時に始まる方法と、スラーが上拍的に始まる方法があるが、何れの場合も、スラーの開始音で表現の拡大が行われることで、2音による音型を明瞭に表現することができた。4音の中の3音にスラーが用いられた場合は、4音を1:3に分ける方法と、3:1に分ける方法があるが、前者では独立した第1音を強調し、その後、僅かに間を取ってから第2音以降のグループを奏することで、しばしば音楽のテクスチュアを明瞭に表現することができた。スラーの開始音や音と音の間が時間的に拡大しても、当時の演奏習慣では、拍の中で埋め合わせのシステムが働くことで、拍としての長さは変わらなかったものと考えられる。アーティキュレーションの表現の中で、テンポの変動は僅かなものであったが、それが音量などの変化と連動することによってこの技法を真に効果的なものにしていた。本研究で得られた示唆により、今後のバッハ演奏に新たな可能性が生まれることを期待する。, 1, KJ00007847575}, pages = {1--16}, title = {バッハ演奏におけるアーティキュレーションの表現技法に関する研究 : テンポに与える影響を通して}, volume = {24}, year = {2012}, yomi = {カトウ, イチロウ} }