@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00000480, author = {横井, 雅子 and Yokoi, Masako}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報}, month = {Mar}, note = {本報告は、トルコのイスタンブールにおいて行った予備的検分(2010年7~8月実施)から得られた課題と先行研究をもとに、今後、当地において調査すべき問題の整理を行ったものである。複数の国に分散して居住するエスニック集団であるロマの音楽や芸能については、近年まとまった調査・研究が目立つようになってきた一方で、アジアやアフリカのロマをめぐる状況は従来とあまり変わりはなく、それぞれの土地で音楽や芸能に従事している彼らについての研究は限定的であり、現地語以外で書かれた参考資料は極めて少ないのが実情である。筆者はこれまでに中東欧でロマとその文化発信の様子を考察してきたが、そのうちのマケドニアでは、オスマン・トルコ統治下でトルコの音楽・芸能の影響を強く受け、トルコ音楽と近似性の高い音楽を奏するロマの活動の様子を考察した。彼らのミュージシャンシップの固有性とトルコとの類似点を確認するためには、トルコのロマとの比較が有効である。また、トルコがEU加盟をめざしていることもロマへの関心と結びつく点である。イスタンブールでは、トルコ人の日常生活の中でロマ音楽が人々と密接に関わって機能している様子を観察することができ、大衆音楽の担い手としての一定の場所を確保していることを確認したが、現地の研究者による考察はほとんど手付かずに近い状態である。しかし、大衆音楽以外の、これまで顧みられることの少なかったジャンルも含めたロマ音楽のドキュメントもようやく現れ、変化の兆しが見られる。また、期間も設備も十分とは言えないものの、音楽と芸能を系統的に教授する試みが公的に始められようとしている様子も確認することができた。いずれも、筆者がこれまで考察してきたヨーロッパの国々と比べればかなり貧弱であることは否定できないが、少数民族にさえも数えられていないトルコのロマにとっては、目に見える変化と見なすことができる。一方で、現代にまで残ったロマ最古の集住地と見なされていたスルクレ地区が2年前に破壊され、その住民の離散とともに、当地での音楽・芸能の場も失われた。まだ十分に時間を経ていないため、代替地も確立しておらず、これについては今後の考察が必要となることが判明した。このことは、拡大EUへの加盟をめざすトルコにとって、加盟基準を満たしていない要素の一つである人権保護の問題とも関わり、その点からも注目し続けたい。今後は、トルコのバルカン半島側(トラキア)のケシャンKesanのように、ロマの集住が認められ、かつ音楽的伝統によっても知られる他の地域も調査対象に含めることが、特にバルカン諸国のロマ音楽との関連性を考察する上では有効なのではないかと考えられる。, 7, KJ00006976860}, pages = {95--100}, title = {イスタンブールのロマ音楽家・芸能者とその現状}, volume = {23}, year = {2011}, yomi = {ヨコイ, マサコ} }