@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00000477, author = {川辺, 茜 and Kawabe, Akane}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報}, month = {Mar}, note = {A.シェーンベルクArnold Schonberg(1874-1951)の声楽作品に関して、しばしば「朗唱的」といわれる。しかし、「朗唱」という言葉が広義である点、シェーンベルクの作曲様式が時期によって異なる点から、彼の歌曲作品における朗唱の位置づけは十分に議論されてきたとはいえないだろう。そこで本論文では、シェーンベルクの初期の秀作である、R.デーメルRichard Dehmel(1863-1920)のテキストによる完成されたリート全8曲を対象に、旋律と言葉の関係性を考察し、初期の発展段階におけるシェーンベルクの言葉への態度を明らかにしようと試みたものである。彼の言葉への態度を探ることは、演奏研究のうえで重要な資料になると思われる。本稿の第2章では、まず「朗唱」という言葉の一般的な理解や定義を概観したうえで、デーメルが1906年に発表したエッセイ「叙情的朗唱の諸法則Prinzipien lyrischer Deklamation」に基づき、彼の朗唱概念を検討する。このエッセイは、デーメルの朗唱といわゆる職業的な朗唱との比較を通して叙情詩の本質に迫るという構想で書かれたもので、デーメルの求める朗唱の姿を垣間見ることができる。そこで彼は、「叙情詩の朗唱は演劇的から借用した朗唱様式では叙情的なリズムは損なわれてしまう」と言っており、「内なる響きを聴きとれるような叙情詩独自の朗唱法が必要だ」と強調している。第3章では対象曲の旋律分析を通して、テキストと音楽の関係を考察する。とりわけ語や詩節の強勢と音楽上の諸要素(リズム、高低、強弱、パウゼ)の関連性と、言葉の朗唱と旋律のバランスがどのように保たれているのかに着目した。語と詩節の強勢部分の音楽上の配置は、強拍に置く方法が最も多く、次にシンコペーションなどのリズムによる強調が多い。強調する内容によっては、アクセントを付加する、予想に反する和声づけで際立たせる用例も見受けられる。また音楽上の間を有効に用いることで、詩の韻律により忠実に、詩の内容をさらに充実させることに成功している。1シラブル1音符を基本し、音節を引き伸ばす用法はほとんど用いない点では、言葉に多大な配慮が払われていることは間違いない。分析を通して、シェーンベルクのデーメル歌曲は「朗唱的」である側面を十分に有していながらも、その朗唱法はヴォルフが演劇的要素の借用から生み出した「語るように歌う」というものではなく、「歌うように語る」というものだと考えられた。そのようなシェーンベルクの姿勢とデーメルの考えを照らし合わせると、共通項が浮かび上がり、デーメルの意図も自ずと達成されているのである。シェーンベルクは話される言葉を音楽の中に模倣する形ではなく、詩の根源的な叙情性を音楽で再構築し、そのなかに言葉を置いていくという方法で詩と音楽を調和させている。, 4, KJ00006976800}, pages = {49--62}, title = {シェーンベルクのデーメル歌曲における詩と旋律の関係性}, volume = {23}, year = {2011}, yomi = {カワベ, アカネ} }