@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00000458, author = {戸澤, 史子 and Tozawa, Ayako}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報}, month = {Mar}, note = {本論文は、ヨハン・ミヒャエル・ハイドン (Johann Michael Haydn, 1737-1806) の《レクイエム ハ短調》MH 155 (1771)から、第2曲<怒りの日>を取り上げ、テクスト解釈を踏まえながら、その音楽表現の手法を考察したものである。 この作品がW. A. モーツァルトの《レクイエム ニ短調》KV 626へ与えた影響については、今さら言うまでもないであろう。多くの先行研究によるその指摘は、この作品のもつ音楽史上の意義を示すものである。同時に、この作品は、初期から中期へ向かうM. ハイドンの転換期における作品としても、重要な意味をもつ。<怒りの日>は、その《レクイエム》MH 155において、最も大きな規模をもつ楽曲である。 続唱として歌われる<怒りの日>は、長大なテクストのなかに、ふたつの要素を含む。第一には、最後の審判を恐れる「恐怖」、そして第二には、そこからの救いを求める「神への懇願」である。本論文は、この観点をもとに音楽的な分析を行い、主に主題楽節の扱い方と、そこから導き出されるモティーフの展開に注目した。楽曲の要所で回帰する主題楽節は、テクストの流れに呼応してそのあり方を変容させ、「恐怖から祈り」へのプロセスを辿る。M. ハイドンが最も重視したそれは、進展するテクストの性格を反映しながら、音楽をクライマックスへと導くものであった。さらに、この主題楽節が内包していた半音下行の核音型は、言葉の意味を担う新たなモティーフへと発展し、楽曲全体の基調を成す、重要な役割を担っていることが明らかになった。これら主題楽節とモティーフの手法は、互いに相まって「恐怖から祈り」へと進みながら、そこに救いへの期待を見出してゆくのである。 本論文では、70年代の《レクイエム》として、F. ガスマンとJ. ボンノによる<怒りの日>との比較を踏まえた。分析の結果から見えてきたのは、M. ハイドンの、音楽を構造的に捉え、発展させる力である。それによってテクストは、慣習的で描写的な表現を超え、音楽と一体となった独自の説得力をもつことになった。情感溢れるテクスト解釈と表現は、主題とモティーフの手法によって組み立てられた、楽曲の構成力に支えられているのである。これは、その後のM. ハイドンが、ウィーン古典派の作曲家として充実した創作を行っていったことを、十分に予感させるものである。, 5, KJ00005198179}, pages = {65--80}, title = {ヨハン・ミヒャエル・ハイドンの《レクイエム》MH 155〈怒りの日〉におけるテクストと音楽表現}, volume = {21}, year = {2009}, yomi = {トザワ, アヤコ} }