@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00002618, author = {鶴岡, 翔太 and Tsuruoka, Shota}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music}, month = {Mar}, note = {高等学校入学者選抜に関わる学力検査(アチーブメント・テスト)に,音楽の問題が出題されていた時期がある。音楽の学力検査は1950(S25)年度の入学者選抜の時期に導入され始め,1967(S42)年度の入学者選抜に至るまで,ほぼ全ての都道府県で実施された。この時期に刊行された雑誌には“学力検査によって音楽の授業が歪められた”といった文面が散見される。しかし,学力検査が音楽の授業にどのような影響を与えていたのか,その実態は精査されていない。『教育音楽』『教育音楽 中学版』において断続的に特集が組まれたが,各記事で何が述べられているのかということについて,これまで顧みられてこなかった。津田正之(1998)が1950年代前半(S20年代後半)の記事をもとに中学校音楽科の状況を明らかにしているが,それ以降の時期については記事に言及したものすらみられない。そこで本稿では,学力検査をめぐる言説を整理することによって,その影響を受けた中学校音楽科の実態を描出することを目的とした。 本稿では音楽の学力検査に関わる記事を次の4つの時期に区分し,時期の背景や特徴,記事の総体を示した上で,各時期における中学校音楽科の実態を検討した。 (1)音楽の学力検査が導入され,全国各地に定着するまでの時期〔1950年代〕 (2)学習指導要領の告示により,学力検査に変化がみられた時期〔1960年代前半〕 (3)実音を用いて“音楽不在”の学力検査から脱却を試みた時期〔1960年代半ば〕 (4)音楽の学力検査が廃止され,音楽学習について再考する時期〔1960年代後半〕 学力検査が導入された当初の言説には,“覚える”音楽学習,“音楽不在”の音楽学習の実際が見て取れた。学習指導要領の告示に伴って学力検査が変化してもその状況は続き,実音を伴う問題や実際に創作する問題に期待が高まっていった。楽譜の提示によって「暗記で事足りる検査問題」からの脱却も図られたが,実際には覚える対象が文字から楽譜に変わっただけであった。実音テストが実施されるようになると,曲の主題を“覚える”音楽学習がみられるようになった。記事を辿ることによって,このような「旧態依然の課題」や「装いを変えて継続される課題」が浮かび上がってきた。 当時,“覚えること”を基盤として,学力検査に追従する構図が働いていた。そうした状況下で学力検査の趣旨を実現するには,“どのような力を測るのか”という視点に立った出題内容と評価方法の検討,すなわち学習指導の実際に正対した学力検査を作成する姿勢が十分ではなかった。 学力検査を主題としていない記事の中にも,その影響が垣間見れるものがある。また,同時期には中学校音楽科を対象とした学力調査が存在する。関連資料を参照することによって,時代状況,言説の内実や位置付けを明確にすることができる。資料の範囲を広げつつ,実際に出題された問題も踏まえながら検討を重ね,学力検査に翻弄された中学校音楽科の実相をより鮮明に描出することを今後の課題としたい。}, pages = {221--237}, title = {音楽の学力検査をめぐる1950~1960年代の中学校音楽科の実態 : 雑誌『教育音楽』に掲載された記事の分析を中心に}, volume = {35}, year = {2023}, yomi = {ツルオカ, ショウタ} }