@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00002615, author = {李, 嫣寒 and Li, Yanhan}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music}, month = {Mar}, note = {本稿の研究目的は、唐代の音楽詩の調査と抽出を通じて、箏の演奏実態を考察することである。特に唐代における箏の演奏に関する用語、演奏場面、箏という楽器のもつ特性を探った。さらに、唐詩における箏や他の楽器のイメージの描写を通して、唐代における箏と他の楽器との異なる点を比較・検討した。また、この研究との関わりにおいて参照した先行研究は、谷口高志「唐代音楽詩における楽器のイメージ : 琴・筝・琵琶・笛」、同じく谷口「唐詩の音楽描写―その類型と白居易「琵琶引」」、中木愛「白居易の音楽描写における「音」の要素の盛り込み方」などが主なものである。 本稿では、まず『全唐詩』に含まれる音楽詩(音楽的な場面に関わる表現を含む詩)を抽出し、そのうちの箏に言及している詩における演奏に関する用語、演奏場面に基づいて分類した。さらに詩に表現された箏の演奏の様子を確認し、唐代の箏の演奏場面には宴会(宮廷内外)、外教坊、青楼、夜があったことを跡付けた。 箏に加えて琴、琵琶、笛のイメージの描写については、先行研究を参考にしながら、同様に唐詩を具体的に調べた。琴が高尚なイメージを持つこと、琵琶が「胡」や辺境のイメージを持つこと、笛が夜の演奏にも多く用いられ愁い感情を表すというイメージを指摘した点は先行研究の指摘と共通している。異なる点は、これらの楽器を使用する演奏場面の違いと、演奏者の違いを筆者が新たに指摘したことである。 このような手続きによる考察から理解できたこととして以下のことが挙げられる。まず、唐代の音楽詩において箏を描写した詩の題名は二種類に分けることができる。一つは、詩人自身が聴いた箏の演奏に対して「聴」という言葉が使われている題名をもつものである。もう一つは、楽伎が箏を演奏する場面の描写である。詩の題名からは箏の名手(女性)の存在を確認した。 一方、詩から抽出した箏の演奏に関する用語には全部で「掩」、「抑」、「弄」、「弾」、「調」、「抽弦」、「促柱」、「回旋」、「拂弦」の九種類があった。このうち「掩」と「抑」だけが左手の奏法である。 唐代の箏の演奏場面については、宴会(宮廷内と宮廷外の両方)、外教坊、青楼、夜の四種類を唐詩から確認できた。たとえば夜の詩では、箏の演奏を聴いた詩人などの感情も描き出されていることが読み取れる。また、詩人や楽伎が箏の演奏を聴いたり、演奏したりするときは悲しみ、苦しみなど負の側面が表現されていることを確認した。 琴、琵琶、笛との比較を通して、箏も琵琶も女性楽人が宴会で演奏する点、箏と笛は夜という点では共通するが、相違点も多い。楽器のイメージでは、琵琶は少数民族音楽と辺境のイメージを持っており、箏は悲しみや恨みなどの感情を表現している。箏と琴は同じ絃楽器でありながら演奏機会、演奏者、楽器のイメージの点で異なっている。箏は屋内で使用されることが多いのに対し、笛は屋外で使用されることが多い。また、感情の表現の面でも箏は恨み、愁い、悲しみなど負の感情を表すことが多いのに対し、笛は郷里への思いを表すのに適しているという相違点がある。これらの比較を通して唐代に抱かれていた箏の属性を跡付けることができた。}, pages = {171--185}, title = {唐詩に見る箏の受容と演奏実態の考察 : 他の楽器との比較を通して}, volume = {35}, year = {2023}, yomi = {リ, ヤンハン} }