@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00002614, author = {紺野, 鷹生 and Konno, Takao}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music}, month = {Mar}, note = {本稿の目的は、スペクトル楽派第二世代の作曲家であるアルベルト・ポサダス Alberto Posadas(1967-)が2006年に作曲した、室内アンサンブルのための《アナモルフォシス》(2006)を分析し、スペクトル楽派に影響を受けながら彼がどのように独自の音色的作曲法を切り開いていったのかを解明することである。そもそも音楽において音色という語は、一音単位のみならず、複数の音によって構成された全体の響きとして用いられることがある。特に、ドビュッシー以降やスペクトル楽派においてそうした音色の語の用法が顕著である。筆者は本稿において、複数の音によって構成された一つの響きを「全体音色」、一音単位を知覚するような薄いテクスチュアの響きを「微細音色」と呼び、両者を明確に区別し、20世紀から現在に至る全体音色の系譜を俯瞰したうえで、分析を行った。 具体的な分析方法として、ベサダがこの曲中で最も印象的な部分として挙げた、冒頭から3分半までの倍音スペクトルの変化による全体音色の推移の仕方と、中間部分のオーボエソロとその他の楽器による微細音色がどのように構築されているかについて、スペクトル楽派やスペクトル楽派第二世代の作曲家の作品との比較を交えて分析した。結論として、冒頭部分からの全体音色の推移については、G#1を基音とする倍音スペクトルによる協和した全体音色を、半音や微分音を用いて次第に歪ませ、グリゼーの〈パルシェル〉とは異なった方法で不協和へと推移させていた。さらに、より不協和な全体音色へと移行するために、同時に鳴らす基音を二つ、三つ、四つと次第に増やしており、これらの全体音色の漸次的推移の様相が、《アナモルフォシス》の題の通り、歪んだ響きを作り出す重要な特徴とみなすことができる。また、オーボエソロによる中間部分ついては、ウェーベルンに代表されるような微細音色の受け渡しが見られたが、それらはすべてオーボエの音を、ライブエレクトロニクスのように増幅させたり、変化させたりするためであった。このような同じ音高の音を異なる楽器や奏法によって紡ぐ手法には、20世紀においてさまざまな前例があるが、電子音楽の発展を経て、ライブエレクトロニクスの発想を再びアコースティック楽器のみによる音楽で再現しようとしたことで、21世紀の音色の新たな書法へと繋がった。}, pages = {155--169}, title = {スペクトル楽派第二世代の作曲家における音色の用法に関する研究 : A.ポサダスの《アナモルフォシス》における事例}, volume = {35}, year = {2023}, yomi = {コンノ, タカオ} }