@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00002612, author = {岩﨑, 愛 and Iwasaki, Mana}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music}, month = {Mar}, note = {三味線の駒は、音色に影響を与える大切な部位であり、演奏家は、駒の選択や設置位置について、こだわりを持っている。しかしながら、三味線の駒に関する資料は、研究者による駒の高さの調査、演奏家の記した文献における記述などが断片的に存在するのみで、駒に注目した学術的な研究は管見の限り見当たらない。 そこで本稿では、長唄三味線の駒に関する歴史的な調査記録や駒に関する演奏家の言説を収集、分析し、演奏家の駒の選択や駒に対する工夫に関して、歴史的な変遷を明らかにすることを試みた。駒に関する歴史的な調査記録については、大正期から昭和期に研究者が記した文献資料から抽出した。駒に関する演奏家の言説については、大正期以降のインタビュー記事や対談記事、および稽古の指南書から抽出した。現在の演奏家については、筆者が現役のプロの長唄演奏家四名にインタビューを行ない、情報を収集した。 第一節では、駒の高さに着目して、分析、検討を行なった。大正期から昭和期の文献に掲載された調査記録、および駒に関する言説と、筆者が行なったインタビュー調査の結果を総合したところ、大正期から2021年の調査時までの間においては、時代が下るにつれて駒の高さが次第に低くなっていることが明らかになった。また、他の三味線音楽ジャンルの演奏家が、それぞれ一定の高さの駒を使用しているのに対して、長唄三味線の演奏家は、高さの異なる複数の駒を状況に応じて使い分けていることが確認できた。 第二節では、駒の幅について検討した。駒の幅に関する資料は非常に限定されており、本節では主に演奏家や三絃師(三味線の販売、修理、整備等を行なう職人)の言説にもとづき、考察を行なった。その結果、駒の幅は、駒の高さ、および演奏環境や皮の張り具合との関係によって、好ましいものが選択されてきたこと、また駒の幅が広すぎるものは冴えた音が出ない、すなわち好ましい音が出ないとされていることが確認できた。 第三節では、演奏家の駒に関する工夫について、文献資料とインタビューにもとづき検討した。駒の設置位置については、譜尺を使用する初心者にとっては勘所がその基準となるが、習熟者は、マイクの有無、演奏場所、求める音色、皮の状態など、さまざまな条件に応じて調整を行なっていることがわかった。また、演奏家は自身の求める音色を得るために、駒の形にもこだわりをもっていることが明らかになった。 本稿では、駒に注目することで、これまで指摘されることがなかった長唄三味線の特徴の一端を明らかにすることができた。しかしながら、駒の高さが大正期以降、次第に低くなっている理由については検討することができなかった。今後はこの点について、三味線本体の素材や大きさの変遷との関連も含めて検討することが課題である。}, pages = {123--136}, title = {長唄三味線の駒に関する歴史的研究 : 大正期から昭和期の文献資料とインタビュー調査から}, volume = {35}, year = {2023}, yomi = {イワサキ, マナ} }