@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00002608, author = {飯島, 聡史 and Iijima, Satoshi}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music}, month = {Mar}, note = {本研究は、ショパン Fryderyk Franciszek Chopin(1810-1849)の《ノクターン》におけるテンポ・ルバート(以下ルバート)について、先取と遅延に基づく方法に焦点をあてて考察したものである。 演奏家にとってルバートは常に重要な要素となるが、それは「単に『テンポを揺らす』ことであると勘違いされたり,乱用されたりすることが多」(三島2012,143)く、その概念が非常に多義的であることはあまり知られていない。ルバートは1723年、トージ Pier Francesco Tosi(1654-1732)によって歌唱法として提唱されたのが最初期であり、おおよそ1800年を境にその方法は変化を遂げた。トージが提唱し、1800年頃まで続いたルバートは前期ルバートともいわれ、その基本概念を成すのは一定に保たれた伴奏の上で、旋律に対して変化が加えられる方法であった。先取と遅延は、その前期ルバートの最も基本的な方法であり、トージやクヴァンツ Johann Joachim Quantz(1697-1773)、テュルク Daniel Gottlob Türk(1750-1813)といった音楽家達によって説明された。 本論は、大きく4章に分けられる。第1章は序として、ショパンやルバートの先行研究、その背景、研究目的等について説明し、第2章では先取と遅延の具体的な歴史変遷及び使用方法について纏めた。そして、第3章では実際にショパンの《ノクターン》において、先取と遅延が用いられている特徴的な作品を取り上げ、作品分析を行った。その結果、先取と遅延によるルバートは、シンコペーションのリズムによる方法、3拍子の2拍目が強調される方法、跳躍後の音が強調される方法といった三つの方法に大別されることが明らかになり、その変遷や特徴についても考察を進めた。最後に、第4章では結を配置し、それまでの内容を踏まえた総括、本研究の価値、そして今後の展望について纏めた。ルバートは本来記譜されず、演奏者による演奏実践の際に行われることが殆どであったため、先行研究では記譜されていない箇所に対して、歴史的な理論書や作曲家についての言及等から推測し、可能性を探究したものが多く、本研究のように詳細な作品分析に基づく研究は殆どなかった。従って、本研究は記譜されたルバートを、ルバートのない形に還元するというこれまでにはない新たな方法によって分析を進めた研究として位置づけられる。すると、ショパンのように演奏音源が残されていない作曲家に関しても、その書法的特徴から客観的に作曲家自身が意図したルバートについて明らかにすることが可能となる。更には、そのことで演奏家がルバートの記譜されていない箇所に対して、どのようにルバートを用いれば作曲家の意図を汲んだ表現となるか、といった演奏実践における可能性についてまで検討することができるのである。 従って、本研究はショパンのルバートについて明らかにする上でも、ルバート研究全般を推し進める上でも新たな価値をもつものとして位置づけられるだろう。}, pages = {53--69}, title = {F. F. ショパンの《ノクターン》におけるテンポ・ルバート : 先取と遅延に焦点をあてて}, volume = {35}, year = {2023}, yomi = {イイジマ, サトシ} }