@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00002514, author = {唐津, 美和 and Karatsu, Miwa}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music}, month = {Mar}, note = {小中学生のピアノ学習率は,高度経済成長期を境に急激に伸び,その後,1980年代の半ばにピークを迎えた。その後,減少傾向がみられるものの,ピアノは現在でも水泳,習字などと並び,子どもの習い事の中で中心的な位置を保っている。しかし,近年では,少子化や習い事の多様化,住宅事情などにより,ピアノを習う子どもの数は年々減少している。また,せっかく幼少期から学習しても,さまざまな理由から途中でやめてしまう子どもが多いのが現状である。 今回,これらの問題点を解明する手掛かりとして,2021年に,教員養成系大学の学生を対象に,「ピアノ学習に関するアンケート」を実施した。そして,1998年に,川村有美が実施した同様の調査結果と比較し,分析,検討した。その結果,ピアノは昔に比べ,「憧れ」の習い事ではなく,大衆的な習い事に変わりつつあり,その中で,学習開始年齢や中断時期の年齢の幅は広がり,二極化がみられた。学習動機も,「親の勧め」が多いものの,「家族や友達の影響」は減り,「自分の意志」で初めていた学生が多数みられた。川村は,「教師の問題」,「練習の問題」,「教材の問題」の三点が,学校生活の忙しさとも重なり,ピアノ学習の悪循環を生みだし,子どもたちをピアノ学習の中断へと追い込んだと述べている。しかし,今回の調査結果では,学習の中断理由やピアノ学習での嫌なことにおいては,「教師の問題」や「教材の問題」は減り,「練習の問題」と回答した学生が圧倒的に多かった。これは,ピアノ教師が,1980年代に問題視された生徒に対する振る舞いなどを改善し,多様化した生徒のニーズや技量に合った教材の選択などに努力を重ねた結果である。毎日の練習は,多忙な生活を送る子どもにとってはかなりの負担になっており,ピアノ教師は,練習に対する意識を改める必要がある。また,今回,多くの大学生が,ピアノを趣味や楽しみとして位置づけていることがわかった。 時代の変化と共に,社会の状況や人々の考え方もめまぐるしく変化し,生涯音楽学習の時代を迎え,ピアノ教育も多様化している。その中で,子どもが,将来を見据えた時に,単なるピアノ学習で終わらず,趣味や楽しみの枠にとどまらずに,自律的に音楽活動を広げていけるようにしていくことが,ピアノ教師として,重要である。そして,小中学生の間の数年間のピアノ教師とのレッスンや触れ合いの中で,「ピアノは楽しい」「音楽が好き」という気持ちを芽生えさせることができれば,たとえ,一時期ピアノから離れても,大人になってから,ピアノや音楽の楽しさを味わう機会を再び得ることができると考える。そのためには,常に,子どもや親と向き合い,対話を通してじっくり話を聴くこと,相手が何を求め,何に悩んでいるのかを察知し,迅速に対応することにより,子どもや親との人間関係・信頼関係を築き上げることが大切である。また,レッスンを長く続けることにより,一人でも多くの子どもが,毎日心豊かに過ごすことができ,それが成人,さらに高齢者になっても続くように,生涯音楽学習を見据えたピアノ指導の重要性が示唆される。}, pages = {277--293}, title = {生涯音楽学習の視点から見たピアノ学習の状況 : 1998年と2021年の調査結果の比較を通して}, volume = {34}, year = {2022}, yomi = {カラツ, ミワ} }