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ケースマイケルにおける音楽と振付の関係 : G.グリゼイ《VORTEX TEMPORUM I,II,III》(1994-1996)を用いた2つの作品の比較を通して
https://doi.org/10.20675/00002491
https://doi.org/10.20675/00002491b1665b77-fb9c-46f4-b257-e222bbbf7496
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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Item type | 紀要論文 / Departmental Bulletin Paper(1) | |||||||||||
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公開日 | 2022-06-08 | |||||||||||
タイトル | ||||||||||||
タイトル | ケースマイケルにおける音楽と振付の関係 : G.グリゼイ《VORTEX TEMPORUM I,II,III》(1994-1996)を用いた2つの作品の比較を通して | |||||||||||
タイトル | ||||||||||||
タイトル | The Relationship of Choreograph and Music in Anne Teresa De Keersmaeker : Through a Comparison of Two Works Using Grisey’s «VORTEX TEMPORUM I,II,III» | |||||||||||
言語 | ||||||||||||
言語 | jpn | |||||||||||
キーワード | ||||||||||||
主題 | ローザス, ケースマイケル, 音楽と振付, 《VORTEX TEMPORUM I,II,III》, 演奏者の身振り | |||||||||||
資源タイプ | ||||||||||||
資源タイプ | departmental bulletin paper | |||||||||||
ID登録 | ||||||||||||
ID登録 | 10.20675/00002491 | |||||||||||
ID登録タイプ | JaLC | |||||||||||
アクセス権 | ||||||||||||
アクセス権 | open access | |||||||||||
著者 |
後閑, 綾香
× 後閑, 綾香
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抄録 | ||||||||||||
内容記述 | アンヌ・テレサ・ドゥ・ケースマイケルAnne Teresa De Keersmaeker(1960- )は80年代以降のベルギーを代表する振付家、ダンサーである。本研究は《VORTEX TEMPORUM》(2013)と《WORK/TRAVAIL/ARBEID》(2015)の作品を比較することで、音楽と振付の関係を考察する上での諸問題を明らかにすることを目的とする。 ケースマイケルの創作の徴徴は「音楽構造」を理解した上で振付を行うことである。ここで言う「音楽構造」とは、楽曲分析による結果だけでなく、音楽作品が演奏される際に、演奏者の身体から生じる身振りまで含んでおり、このアイディアこそがローザス作品の独自性を生み出している。ケースマイケルは、演奏者を舞台上に登場させることによって、ダンスと音楽の関係を様々な振付手法で探求するようになる。中でも、演奏者の身振りに関する探求は、 《VORTEX TEMPORUM》と《WORK/TRAVAIL/ARBEID》によって一つの頂点を迎える。かねてより筆者は、演奏者が舞台上で演奏を行うアイディアが、演奏における視覚的な問題につながるのではないかと感じ、彼女が演奏者の身体に対してどのような考えを持っていたのかということに注目してきた。《VORTEX TEMPORUM》と《WORK/TRAVAIL/ARBEID》は、G.グリゼイ《VORTEX TEMPORUM I,II,III》を用いて創作することが特徴的である。この二作品は同じ楽曲を用いながらも全く別のコンセプトで創作されている。したがって、今回は、《VORTEX TEMPORUM》と《WORK/TRAVAIL/ARBEID》全体像を把握し、G.グリゼイ《VORTEX TEMPORUM I,II,III》の作品の特徴を述べた上で、筆者の問題意識に即して考察を加えた。 《VORTEX TEMPORUM》と《WORK/TRAVAIL/ARBEID》の詳細を見たところ、同じ楽曲を用いているにもかかわらず、劇場で上演される《VORTEX TEMPORUM》と美術館で上演される《WORK/TRAVAIL/ARBEID》は作品の性質が全く異なっていることが分かった。劇場で上演される《VORTEX TEMPORUM》は「ダンサーなしで演奏する演奏者」、「演奏者なしで踊るダンサー」、「演奏者とダンサー」を順番に提示し、さまざまな組み合せによって作品を形成している。更に、演奏行為から生じる身振りをダンスの振付に取り入れることで、楽譜からの分析だけで振付を構成するよりも、音楽とダンスがより密接な関係を築いている。この様な密接な関係は、ケースマイケルが「4つの条件や状況」をダンサーに提示することによって生まれた関係であることが分かった。一方、《WORK/TRAVAIL/ARBEID》は《VORTEX TEMPORUM》を再構築し、美術館でダンスを踊ることに対する実験的な試みを行っている。《WORK/TRAVAIL/ARBEID》は、美術館で行われるダンス公演の在り方を探究した作品である。空間が持つ条件が変わったことで、ケースマイケルの作品創作への意識も変わった。これらのことから《VORTEX TEMPORUM》と《WORK/TRAVAIL/ARBEID》の相違する点と類似する点は三つのポイントでまとめることが出来た。相違する点は二つある。一つ目は、「完結された作品と、解体し再構築した作品とで生まれる振付の相違(演奏者とダンサーの関係性、全て振付された身振りと観客の位置によって変化するダンサーの空間移動)」であり、二つ目は、「作品の提示の仕方の違い(上演時間の違い、ダンサーの数の違い、楽曲の用い方の違い、空間の用い方の違い)」である。一方、類似する点は一つで、「マテリアルの類似性(ダンサーの身振りの要素、空間で用いられる「フロア・パターン」、演奏される内容、演奏者の身振りの要素)」であることが分かった。 これらのことを踏まえて、著者は、音楽と振付の関係において《VORTEX TEMPORUM》と《WORK/TRAVAIL/ARBEID》を比較することで、場所の違いと作品提示の仕方に対する批判から、二つのモデルを得ることができた。一つは関係性が組み合わさったモデルであり、二つはその関係性が解体されたモデルである。この二つのモデルの混用によって、音楽と振付の関係は、より明確に提示されるものになるかもしれない。今回の考察では《VORTEX TEMPORUM》と《WORK/TRAVAIL/ARBEID》の創作プロセスを明らかにすることで、類似点と相違点を見つけ出すことができた。したがって今後は、本研究で得られた類似点を下に、二作品における音楽と振付の関係をより詳細に考察することを課題としたい。 |
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書誌情報 |
ja : 音楽研究 : 大学院研究年報 en : Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music 巻 34, p. 185-200, 発行日 2022-03-31 |
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出版者 | ||||||||||||
出版者 | 国立音楽大学大学院 | |||||||||||
ISSN | ||||||||||||
収録物識別子 | 02894807 |