@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00002215, author = {日下, 瑶子 and Kusaka, Yoko}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music}, month = {Mar}, note = {アメリカの作曲家デイヴィッド・マスランカ(1943-2017)は、その生涯にわたって140曲以上もの作品を残した。マスランカの楽曲は、多様な編成の室内楽、オーケストラ、声楽作品と多岐にわたるが、とりわけ吹奏楽作品で世界的に名が知られており、約50曲ある。また、彼は14曲のサクソフォーン作品を手がけており、そのうちの過半数である9曲に彼の作品の特徴の一つとも言えるコラール旋律の引用が見られる。これがどの編成の楽曲よりも高い割合であることは特筆すべきことであろう。 本研究は彼のサクソフォーン観について、先行研究におけるインタビューや雑誌などを用い、マスランカ本人や関係者の言葉から考察する。また、サクソフォーンを含む編成である吹奏楽、特に彼の代表作である交響曲に注目し、サクソフォーンに特に見られる使用法を確認する。吹奏楽のための交響曲の中でサクソフォーンが中心に据えられている箇所を抽出することにより、楽曲中でどのような役割を担うか、さらに、サクソフォーン作品と関連性があるのかという検討を行い、彼のサクソフォーン観を明らかにする一助としたい。 彼に関するこれまでの研究の多くは、本人のインタビューを元に作曲プロセスに言及し、楽曲分析が行われているものが多い。しかし、一つの楽器に注目した研究は存在せず、彼が作曲する上での楽器観に関しては明らかになっていないのが現状である。本研究によって、彼の音楽を彼の楽器観から解釈する可能性を提示したい。 本研究の結果、吹奏楽のための交響曲中には、サクソフォーンのみで奏される箇所、もしくはピアノ伴奏による独奏の箇所を有するのは8曲の交響曲中3曲確認できた。特に後年の交響曲第8番、第9番では、ピアノ伴奏による独奏、2重奏、4重奏と多様な編成で音楽の中核を担う役割を与えられており、さらにその中には、前に書かれたサクソフォーン作品の引用である部分が3箇所存在していた。  彼は後年にかけてサクソフォーンに重要な位置付けを与えていったと考えられるが、とりわけ交響曲第8番、第9番は10曲あまりのサクソフォーン作品を書いた後の作品であるので、そこに至るまでに多くのサクソフォーン奏者との関わりがあったと考えられる。奏者との関わりのエピソードからも垣間見られたように、奏者との出会いは、マスランカの音色の志向性や楽器自体の可能性の認識を拡大させていく一因であった。これによりマスランカは思い描いた世界をよりリアルに表現出来るようになっていったと考えると、交響曲第8番、第9番に見られる直近に作曲されたサクソフォーンのための楽曲は、マスランカの思い描いた世界に必要不可欠なものとして位置づけることができるのではないだろうか。サクソフォーンは彼の世界を体現できる楽器の一つとして認識されていったと考えることができるだろう。}, pages = {225--238}, title = {D.マスランカのサクソフォーン観に関する一考察 : 吹奏楽のための交響曲における使用の検討を通して}, volume = {32}, year = {2020}, yomi = {クサカ, ヨウコ} }