@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00002212, author = {鯨井, 正子 and Kujirai, Masako}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music}, month = {Mar}, note = {本研究は、恩田陸『蜜蜂と遠雷』(2016)の内容分析を行うとともに、楽曲がどのように文章化され表現されているのか、演奏者の解釈や演奏がどのように描かれているのかなど、音楽の描写を具に読み解くことを目的としている。分析にはユーザーローカル提供のAIテキストマイニング無料版を使用している。 まず、内容分析から得られた出現語と小説を参照しながら、楽曲ごとに、楽曲の構成や解釈、作曲家への言及、コンテスタントの個性や演奏技術、観客の反応の4つを当て、描写の傾向を捉えた。結果、楽曲の構成や解釈は、ソナタ、協奏曲、練習曲を中心に多くの楽曲に描写され、コンテスタントの個性や演奏技術はコンテスタントそれぞれに描かれていた。対して、作曲家への言及や観客の反応の描写は少ないことがわかった。一方、4つの描写をコンクールの進行から辿った場合、コンクール及び登場人物の紹介から演奏や楽曲の構成及び解釈へと、描写の内容が移ったり増えたりしていた。また、コンテスタントと4つの描写を重ねた場合では、主な登場人物のうち、塵と亜夜は、作曲家の来歴や楽曲の特徴とともに彼らの演奏、技術、個性が相乗的に描かれ、明石とマサルは、個性よりも彼らの丁寧な曲作りと解釈が描かれていた。 さらに、出現語の多い3作品を取り上げ、出現語と一緒に現れる共起語を手掛かりとした文章読解を試みた。結果、バルトーク《ピアノ協奏曲第三番》とサン・サーンス《アフリカ幻想曲》では作曲家や楽曲の特徴を描き、リスト《ピアノ・ソナタ》ロ短調 S.178では、悲劇の物語や掃除に喩えてソナタの構成や曲の仕上げを描いていた。これらの描写にも、コンテスタントの個性、演奏や解釈が反映されていると考えられた。 解釈に関連し、他の楽曲を援用することにより、その場面の主となる楽曲をわかりやすく説明していると思われる描写もみられた。 以上の結果を受け、小説『蜜蜂と遠雷』は、登場人物の演奏や解釈等を通して楽曲の持つ様々な情報を描いており、この小説が、小説に登場する楽曲を初めて知る読者ばかりではなく、既に知っていた読者にとっても再認識する機会となり、小説を通して音楽の知識が蓄積されるとの見解を示した。また、塵の自由な演奏に対する審査員・嵯峨三枝子の、今の音楽教育では受け入れ難いに違いないと嘆くような描写と、塵の才能が音楽教育ではなく才能を秘めた他の天才たちを弾けさせていると気付いた描写を挙げ、実際の音楽教育や音楽科教育を振り返らせるものであろうと述べた。}, pages = {185--197}, title = {小説『蜜蜂と遠雷』の内容分析と文章読解 : 楽曲別出現語と共起語をもとに}, volume = {32}, year = {2020}, yomi = {クジライ, マサコ} }