@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00002210, author = {新福, 美咲 and Shimpuku, Misaki}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music}, month = {Mar}, note = {本論文は、20世紀フランスの作曲家アンリ・ソゲ Henri Sauguet(1901−1989)の歌曲 《 Celui qui dort 》 の自筆譜を再発見したこと、およびその内容に関する報告である。この歌曲については、これまで複数の文献において言及が見られたものの、タイトルと作詞者がポール・エリュアール Paul Eluard(1895–1952)であること、そして「フランシス・プーランクの思い出に」作曲されたということ以外は、楽譜の所在はおろか、楽曲の概要についてもまったく情報がなかった。しかし最新の作品目録(2002)において、初演者がアリス・エスティ Alice Esty (1904–2000)であるという新しい情報が追加された。筆者はこの人物を調べる過程で、彼女が所有していた楽譜コレクションがアメリカのベイツ大学図書館に寄贈されていること、その中に 《 Celui qui dort 》 が含まれていることを突き止めた。 筆者の調査によって、ベイツ大学図書館が所蔵するエスティ・コレクションに含まれる 《 Celui qui dort 》 の楽譜は3点現存することが確認された。各楽譜資料をソゲの他の歌曲の自筆譜と比較検証した結果、これらのうち1点がソゲの自筆譜であると確認できた。さらに、各資料を比較検討した結果3点の楽譜資料はそれぞれ、(1)ソゲの署名を持つ自筆譜、(2)エスティが練習の際に使用したと思われる声楽パートの抜粋譜、(3)長2度低く移調された移調筆写譜、であることが分かった。 この作品の自筆譜と2つの手稿譜を所有していたエスティは、著名な音楽家たちに歌曲作品を委嘱し、それらを初演する活動を行なっていた人物として知られていた。初演時の新聞記事から、彼女の歌い手としての評価を窺い知ることができた。また、歌曲 《 Celui qui dort 》 は、エスティが12人の作曲家にプーランク追悼のため委嘱した作品の1つであることも分かった。 これまでこの歌曲については、詩人名は知られていたものの、原詩は特定されていなかった。というのは、この歌曲のタイトルに完全に一致するタイトルの詩がエリュアールの詩集の中に存在しなかったからである。しかし自筆譜の再発見によって、原詩が1930年に出版された詩集『A tout épreuve あらゆる試練に耐えて』の最後に掲載された無題の詩であると特定することができた。実はこの詩には、かつてプーランクも作曲している。したがってこのことが、「思い出に」作曲されたこの歌曲にエリュアールのこの詩が用いられた理由だと推測できる。 さらに、詩と楽曲の双方を分析した結果、詩への付曲に際してはフランス語の抑揚を重視した節付けがなされていること、楽曲の印象を大きく左右するピアノ・パートは詩節単位で拍子や基本的な音型を変化させていることなど、ソゲの作曲上の特徴も明らかになった。}, pages = {157--167}, title = {アンリ・ソゲの歌曲 《 Celui qui dort 》 の自筆譜}, volume = {32}, year = {2020}, yomi = {シンプク, ミサキ} }