@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00002203, author = {陣内, みゆき and Jinnai, Miyuki}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music}, month = {Mar}, note = {本論文は、オリヴィエ・メシアン(1908-1992)作曲のオペラ《アッシジの聖フランチェスコ》における「鳥の声」のうち、登場人物の歌唱に重ねて演奏される箇所に着目し、『リズム、色、鳥類学概論』における作曲者の言説と照らし合わせて、それぞれの鳥の音響的特徴が作品の中でいかに実現されているかを詳細に考察することで、オペラにおける鳥の声の役割の一端を明らかにすることを目的とする。 メシアン作品において、鳥の声は常に楽器によって表現されてきた。そのためピアノ独奏曲およびオーケストラ作品の中に鳥の記述が散見されるが、1969年の《我らの主イエス・キリストの変容》の中で初めて鳥を模した音型が合唱に重ねられる。《アッシジの聖フランチェスコ》では、第1幕の第1場と第2場、第2幕の第4場、第5場、第6場に鳥を模した音型と登場人物の歌が重なる箇所が現れる。第1幕第1場〈十字架〉では、モリフクロウとコキンメフクロウが聖フランチェスコの独白に重なる。第2場〈讃課〉では、セーシェル共和国の固有種であるセーシェルヤブセンニュウとセーシェルシキチョウが聖フランチェスコと共に歌う。第2幕第4場〈旅する天使〉では、ヨーロッパヨシキリとニューカレドニア固有のオオカミドバトが僧侶エリーに重ねられ、第5場〈音楽家たる天使〉は第2場と同じくセーシェルヤブセンニュウとセーシェルシキチョウが、『被創造物の頌歌』を歌う聖フランチェスコとアンサンブルする。第6場〈鳥たちへの説法〉ではトゥルトゥレルが5度に分けて僧侶マッセオと聖フランチェスコの対話につき従い、ミソサザイとズグロムシクイはいずれも僧侶マッセオが歌うテクストの最後に重なる。 これら5つの場の合計27箇所に現れる鳥の声と歌唱の重なりを、音型と楽器法、テクストとの連関に着目して分析した結果、生来の比較的短い鳴き声をもつモリフクロウやコキンメフクロウ、ヨーロッパヨシキリやオオカミドバト、トゥルトゥレルなどは、オペラの中では幾分登場人物の性格を強調する音響として用いられていたことが明らかとなった。一方、多彩かつ技巧的なさえずりを身に着けるセーシェルシキチョウとセーシェルヤブセンニュウは、第2場と第5場で『被創造物の頌歌』を聖フランチェスコが歌う際に軽やかに重なる。ここでは「鳥の声」と聖フランチェスコは完全なるアンサンブルとして意図されており、『被創造物の頌歌』の穏やかで慈愛に満ちた内容を支えている。メシアンは「鳥の声」を登場人物の歌唱と重ねることで、登場人物の内面の強調を音響の上で示し、さらに情景描写としての緻密な舞台装置として機能させていることが見出された。}, pages = {37--52}, title = {オリヴィエ・メシアン《アッシジの聖フランチェスコ》における「鳥の声」 : 『リズム、色、鳥類学概論』を手掛かりとして}, volume = {32}, year = {2020}, yomi = {ジンナイ, ミユキ} }