@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00002139, author = {鯨井, 正子 and Kujirai, Masako}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music}, month = {Mar}, note = {本研究は、恩田陸『蜜蜂と遠雷』(2016)に描かれるオリジナル曲《春と修羅》のカデンツァに焦点をあてて内容分析と文章読解を試み、その結果から、音楽の文章の読み取り方や知識としての取り入れ方を、読者側に立って考察したものである。この目的は、『蜜蜂と遠雷』の読者の、音楽やピアノのことを知らなくても楽しめたという感想に対し、小説が読者の音楽の知識を補っていると考え、ならばどのような音楽描写が書かれているのかを明らかにしようとの動機による。 内容分析には、テキストマイニングのフリーソフトウェアであるTinyTextMiner(TTM ティーティーエム)のMacintosh版を使用し、《春と修羅》の場面に出現する語の数量的な把握を行った。結果、「カデンツァ」の語は曲名の「春と修羅」と同時に出現することが多く、「カデンツァ」が《春と修羅》にとって重要であると読者に印象づけていると考えられた。また、「カデンツァ」を軸に《春と修羅》の場面の文章を読み解いた結果、多彩で多様な言葉による音楽描写と変化がみられた。 これらをもとに、読者側に立った音楽の文章の読み取り方や知識としての取り入れ方を考察すると、読者は《春と修羅》の場面に展開される音楽描写に引き込まれ、知識に変換していったと考えられた。特に、コンテスタント各人の個性も反映されたカデンツァの描写は、多彩かつ多様な言葉と文章表現の変化により、読者を夢中にさせたと思われる。具体的には、《春と修羅》のテーマである宮澤賢治の世界観を確認する言動、カデンツァに賢治の詩の一節をなぞるまでの心の動き、そこから生まれる音の描き方など、読者は、コンテスタントが登場する度に変わる文章に魅了されつつ、想像力も働かせながらカデンツァのイメージを広げ、同時に音楽の知識を積み重ねていったと考えられた。 最後に、この研究を経て、文学は音楽の知識を補うものであり、音楽科の学習にも有用であるという考えを示した。また、今後の意向に、『蜜蜂と遠雷』であればオリジナルではない周知の曲や音楽の形式を焦点に、あるいは音楽を題材とした他の物語を取り上げ、内容分析や文章読解を試みることと、あらゆる分析方法を学びたいとの旨を挙げた。さらに展望として、音楽の知識とは何かという原点に立ち、音楽の知識に対する先人の捉え方を知るための資料調査も考えていると述べた。}, pages = {227--237}, title = {『蜜蜂と遠雷』の内容分析と文章読解 : カデンツァに焦点をあてて}, volume = {31}, year = {2019}, yomi = {クジライ, マサコ} }