@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00002138, author = {蒋, 斯汀 and Jiang, Siting}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music}, month = {Mar}, note = {音響音楽作品において「フィクスト・メディア」と楽器演奏を同時に行う場合に時間的な同期問題が生じる。そのために、様々な「演奏同期システム」が考案されてきた。本研究はこれまでに使用されてきた演奏同期システムの歴史、技術そして音楽的表現を概観して、基本的な考察を行うことを目的にしている。 演奏同期システムは(1)演奏者に指示を与える方法、(2)マルチトラック再生システム、(3)「タイムストレッチ技術」を導入した「インタラクティブ・システム」という三つに分類できる。(1)の方法ではフィクスト・メディアの再生時間(位置)に関する情報を様々な手段(ビジュアル、オーディオ)で演奏者に提供し、同期を促す方法が主となる。この方法には演奏者が演奏時間上で表現における自由性、創造性上でのニュアンスに影響する問題点がある一方、創作段階で設計された「フィクスト・メディア」の音響構造を保ったまま表現できる利点があり、固定された再生時間に対する同期精度と演奏自由度とどのような相互関係を構築するかがポイントとなる。(2)の方法は「フィクスト・メディア」を断片化させ、それぞれの断片を異なる再生トラックを用いて連続的に再生させることにより、演奏者のタイミングを同期させる方法である。この方法によって演奏者は高い自由度を獲得できるが、「フィクスト・メディア」の断片化は時に創作の自由度を制限してしまう問題が生じ、それぞれの断片をどのように音楽的につなげるかが重要なポイントとなる。(3)の方法は、「フィクスト・メディア」の再生時間をリアルタイムで伸縮させることで演奏者に同期させていく方法である。この方法は「フィクスト・メディア」を分割する必要がなく演奏者はより自由な演奏時間を表現することができるが、実際にその技術を使用するに至らせるまでには技術的課題に加えて創作と演奏の自由度を確保という音楽的な課題も残されている。 上記の考察から、演奏同期システムは固定された再生時間と人間の演奏による柔軟な時間変動とを音楽的ならびに時間的、有機的に相互連携をさせるために使用されるツールとして、単にライブ演奏で重要な役割を果たすだけでなく、創作を支援するツールにまで発展してきたことが明らかになった。これまでは、演奏者に直接指示を与える方法とマルチトラック再生システム以外の方法のみが使用されてきた。今後は「タイムストレッチ技術」を援用した「インタラクティブ・システム」が実際の演奏とを柔軟に同期させることを可能にする新たな方法として開発が望まれる。}, pages = {217--225}, title = {フィクスト・メディアと楽器演奏を同期させるための演奏同期システムに関する考察 : 歴史、技術と音楽的表現について}, volume = {31}, year = {2019}, yomi = {ショウ, シテイ} }