@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00002131, author = {陣内, みゆき and Jinnai, Miyuki}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music}, month = {Mar}, note = {オリヴィエ・メシアン(1908-1992)の作曲理論は、多くの研究者や作曲家によって研究されてきた。それは、作曲家が自身の音楽語法に対して多くの言説を残していることに起因する。しかしながら、彼の理論自体は高く評価されてきたにも関わらず、彼の音楽的な構成は長い間批判を受けてきた。これに関してS.Keymは、知的であると評されてきたドイツ=オーストリアの「有機的な主題発展」を避け、フランスの伝統的なルフランを好んで用いたこと、そして形式の分野についての言及を避けたことが要因であると述べている。 メシアンの構造は、短いセクションである音楽的断片が、前後の関係性なしに独立して突然並列され、強い対比を作り出すことにその特徴が見出される。その断絶を示す用語として「モザイク」や「ブロック」という名称が説明に用いられるようになった。1940年代までは三部形式に集約される比較的簡素な構造を好んでいたものの、「鳥の歌」を本格的に作品に取り入れた1953年以降、作品構造はさらに細分化し非常に多くの音楽的断片を内包するようになった。 彼が多くを語ることのなかったこの形式の分野については、それまでごく簡単に概観されるに過ぎなかったが、メシアンの生誕百周年に相当する2008年頃には、作曲家の言説に依らない研究の一端として、重要な論考が相次いで発表された。これらの研究者たちは、膨大な数の関連性が乏しい音楽的断片を並べるこの構造自体が、決して偶発的な詩的直感だけによるものではなく、作曲家の意図を具体化してきたことを明らかにした。メシアンの形式についての最も重要な論考の一つは藤田茂によるもので、メシアンのリズム原理が構造に適用される様をシェーマを用いて明らかにし、単位構造の全体構造への敷衍という一つの視点を示してみせる(藤田、2008)。S.Keymは《アッシジの聖フランチェスコ》に関して、モザイク構造は宗教的時間の永遠性に対応していると説明する(Keym, 2008)。これらの論考は、作曲家が作品の中で示そうとした時間的事象の表出、さらには美学的見地の表出にさえも、形式構造が果たす役割が大きいことを、各々の手法によって実証しようとしている。しかし、これらの論考ではむしろ構造の描く文様そのものに興味が向けられている。 本稿ではまず、作曲家が遺した15のテーマのうち、特に聖フランチェスコに関するいくつかのテーマに着目し、これらのテーマの周期とそれらが欠ける期間を見つける。そして、テーマが出現しない間、オペラの内容は何を語るのか考察する。このオペラの物語とそれらの関係を考察する。次に、音の響きを加えることによって新しい意味が添加された2つの例を確認する。最後に、音楽的断片を幾重にも多層的に重ね合わせた構造がもたらす聴感覚について考察し、その構造が物語の重要性を強調するシステムとして機能することを示す。}, pages = {87--101}, title = {オリヴィエ・メシアン《アッシジの聖フランチェスコ》における物語効果の強調としての3つの作曲手法}, volume = {31}, year = {2019}, yomi = {ジンナイ, ミユキ} }