@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00002129, author = {日下, 瑶子 and Kusaka, Yoko}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music}, month = {Mar}, note = {本研究は、マスランカ作品においてコラール旋律の引用がどのように行われてきたのか、また音楽創造プロセスにおいてどのような意味をもつのかについて考察し、具体例を挙げてその特徴を見出すことを目的とする。 アメリカの作曲家デイヴィッド・マスランカ(1943-2017)は、ほとんど全ての楽曲に自身の楽曲解説を残した。その一つひとつを見ていくとコラール旋律を引用していることや、J. S. バッハのコラールが音楽創造プロセスに影響を与えてきたことなどについて書かれている文章が多数あることに気づく。筆者はこれまでサクソフォーン奏者としてマスランカ作品を演奏してきたが、確かに多くの曲に出現するコラールの存在は非常に印象的であり、それによって彼特有の世界観が表現されているように感じている。 マスランカに関する研究は日本では行われておらず、主にアメリカ合衆国を中心に行われてきた。しかしこれまでのマスランカ研究は、特定の楽曲に限定した楽曲分析が中心であり、それに加える形で音楽創造プロセスが述べられるものが多い。バッハのコラール引用に関しての研究も少数行われているものの、1つの楽曲の分析が中心となっていたり、吹奏楽作品に限定されており、マスランカ作品全体におけるコラール旋律引用を概観し、その傾向を述べた記述はない。 本研究では、彼のウェブサイトで確認できる全147曲のうちコラール旋律が引用されている楽曲を抽出し、楽器編成や年代、引用コラール曲などに分類してその傾向をまとめ、高頻度でコラール旋律が引用されているサクソフォーン四重奏に注目して、引用方法の特徴を考察した。 マスランカが1990年頃から、作曲活動へ心身のあり方を移行させる行為としてJ. S. バッハの『371のコラール集』を歌うようになって以降、曲中にその旋律が多数引用されてきた。当初は音楽創造に心身の状態を移す手段であったものが実際に音楽に表れ、完全な形、もしくはその断片がモチーフとして用いられたり、様々な形に展開されていく。コラール旋律の引用はとりわけ吹奏楽、サクソフォーン作品に多く見られるが、引用されている曲の楽器編成や作曲年には一貫性はなかった。一方で、引用されているコラール旋律は、マスランカが無意識に好きなコラール旋律を多く使用しており、引用回数に偏りが見られた。 今回、高い割合でコラール旋律の引用がみられるサクソフォーン四奏奏曲に注目し、引用方法を分類すると、引用の方法は循環引用型と楽章内引用型の2つに分けられ、そのどちらにおいても曲中でコラール旋律が完全な形や断片が散りばめられる形で用いられていることがわかった。 さらに、コラール旋律が断片として引用される場合、それに関する2パターンの方法を見出すことができた。それは(1)リズムや音価を変えているがほぼもとの旋律の形が見えるもの(2)コラール旋律の断片がモチーフとなって展開するもの、以上2点である。}, pages = {53--69}, title = {D.マスランカ作品におけるコラール旋律の引用 : サクソフォーン四重奏曲を例に}, volume = {31}, year = {2019}, yomi = {クサカ, ヨウコ} }