@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00002126, author = {加藤, 一郎 and Kato, Ichiro}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music}, month = {Mar}, note = {作曲家がピアノの名手でもある場合、彼らが用いていた楽器の特徴を知り、実際にその楽器で演奏することは、彼らの音楽を理解する上で非常に重要である。ショパンの音楽は、ポーランドの「国立フリデリク・ショパン研究所 Narodowy Instytut Fryderyka Chopina」が原典版楽譜の研究と共に、2005年から「歴史的楽器によるフリデリク・ショパン全集 The Complete Works of Fryderyk Chopin on Historical Instruments」(以下、「CWFC」と略記)という演奏録音プロジェクトを開始した。そのコア部分となる21枚組の「真のショパン-ショパン全集 The Real Chopin - Complete Works」が2010年に完成し、そのプロジェクトは更に発展して、今日、研究資料として用いるために充分な質と量を持つに至った。そこで、本研究はこのプロジェクトによる演奏録音を資料とし、その内容を分析することによって、ショパンの音楽の真正性を解明し、現代ピアノによるショパン演奏にとって有益な示唆を得ることを目的として行った。 CWFCの演奏録音を分析したところ、ショパン当時の楽器による演奏の特徴はペダリング、対位法の表現、テヌート・アクセント、倚音の表現、《ワルツ》における音の軽さ、楽器全体の響きに示されていた。これらは主に、当時の楽器の音響特性と鍵盤の重さ、そして、ペダル効果等と関連していることが分かった。ウィーン式アクションを採用した楽器から、イギリス式アクションを採用した楽器に徐々に移り変わりつつあったこの時代、ショパンはピアノ演奏の歴史を飛躍的に塗り替えて行った。ショパンのペダル技法は彼以前には考えられない程多様なものとなったが、これらは紛れもなく当時の楽器の音響特性から生まれたものであった。明瞭な輪郭をもった当時のピアノの音は、線的テクスチャの表現に秀で、対位法へのアプローチにおいても現代ピアノとは大きく異なるものであった。テヌート・アクセントや倚音の表現は、当時の楽器の響きの減衰の早さと関連していることも分かった。そして、ショパンが最も好んだプレイエルの軽く優雅な響きは彼の音楽的趣味と関連していることも分かった。 現代ピアノによってショパンを演奏する際に重要なことは、当時の演奏習慣の単なる再現ではなく、当時の楽器による演奏から得られた知見を現代ピアノの持つ新たな美学と如何に融合させるかということが大きな課題となろう。その意味からも、本研究の成果が今後の現代ピアノによるショパン演奏に新たな示唆を与えられれば幸いである。}, pages = {1--17}, title = {ピリオド楽器によるショパンの演奏解釈に関する研究 : NIFC制作 "The Complete Works of Fryderyk Chopin on Historical Instruments"の演奏録音の分析を通して}, volume = {31}, year = {2019}, yomi = {カトウ, イチロウ} }