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山田耕筰の《「この道」を主題とする変奏曲》(1930) : 近代日本における最初期のヴィルトゥオーゾ・レパートリー
https://doi.org/10.20675/0002000651
https://doi.org/10.20675/0002000651f026f4c4-28c4-44ac-ad3a-11b55309d9d4
| 名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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| Item type | 紀要論文 / Departmental Bulletin Paper(1) | |||||||||||
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| 公開日 | 2025-06-09 | |||||||||||
| タイトル | ||||||||||||
| タイトル | 山田耕筰の《「この道」を主題とする変奏曲》(1930) : 近代日本における最初期のヴィルトゥオーゾ・レパートリー | |||||||||||
| タイトル | ||||||||||||
| タイトル | Yamada Kósçak, Variations on the Theme of “Kono Michi” (1930) : One of the Earliest Virtuoso Repertoire in Modern Japan | |||||||||||
| 言語 | ||||||||||||
| 言語 | jpn | |||||||||||
| キーワード | ||||||||||||
| 主題 | 山田耕筰, 岡村雅雄, 「この道」を主題とする変奏曲, ヴィルトゥオーゾ, フルート | |||||||||||
| 資源タイプ | ||||||||||||
| 資源タイプ | departmental bulletin paper | |||||||||||
| ID登録 | ||||||||||||
| ID登録 | 10.20675/0002000651 | |||||||||||
| ID登録タイプ | JaLC | |||||||||||
| アクセス権 | ||||||||||||
| アクセス権 | open access | |||||||||||
| 著者 |
渡邉, 玲子
× 渡邉, 玲子
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| 抄録 | ||||||||||||
| 内容記述 | 本論文は、近代日本におけるフルート・レパートリーの歴史を紐解く上で、邦人初のフルート独奏曲である、山田耕筰(1886–1965)の《「この道」を主題とする変奏曲》(1930)に着目し、自筆譜や山田自身の作品解説などの一次資料をもとに、楽曲の成立や初演に関する情報を明らかにし、ヴィルトゥオジックな変奏曲形式で作曲された作曲者の意図や歴史的背景を考察するとともに、楽曲分析を通して、音楽的内容や技巧性に言及したものである。 本作に関する先行研究は少なく、作曲月日などの基本情報に曖昧な点が存在していたが、自筆譜の調査により、本作は1930年9月19日に作曲され、日本のフルーティストの草分けであり、ベーム式フルートの普及にも貢献した岡村雅雄(1892–1961)に献呈されたことが判明した。初演は岡村と、ウクライナ出身のピアニスト、カテリーナ・トドローヴィチ Katerina Todorović(1877–1974)によって、同年10月7日に山田の楽壇生活25年祝賀演奏会で行われた。再演もたびたび行われたことから、聴衆の評価を期待できる作品であったと分かる。 楽曲は、序奏と主題に次いで8つの変奏と終結部から成り、演奏時間は6分30秒程度である。山田の著書『レコードによる洋楽鑑賞の実際』(1932)からは、「与えられた主題を、一人の人物と見立てて、それに相応しい、いろいろな衣を更える」という意味から、山田は変奏曲を「更衣曲」と呼んでいたことが分かる。本作は8つの変奏のすべてが装飾的変奏だが、旋律の輪郭が保持されることは、「更衣」のイメージに繋がるだろう。各変奏はさまざまな面で趣向が凝らされ、高いヴィルトゥオーゾ性が認められるものの、全体を通してフルートの現実的な奏法に寄り添っている。 本作が変奏曲というジャンルで作曲された背景には、以下の要因が考えられる。第一に、邦人作曲家による変奏曲の系譜である。ピアノ曲では1904年以降、邦人作曲家も変奏曲を手掛けるようになり、その流れの中で山田も1912年に作曲した。1928年頃の彼は、広く愛好されている自作歌曲の器楽編曲を継続的に発表しようとしており、ヴァイオリンの《からたちの花》(1928)に続く作品が本作であった。第二に、日本におけるフルート受容の状況が関係している。当時のフルートは、独奏楽曲や室内楽楽器として国内で認識されていなかったため、馴染みのある歌曲を主題とした変奏曲を作曲することで、山田は人々にフルートの魅力を伝えようとしたのであろう。また、彼はこれまでにピアノ(又はオルガン)、ヴァイオリン、チェロ、フルートのために独奏曲を残しているが、本作は山田の唯一のフルート独奏曲であり、管楽器としても唯一であった。 このように、本作の創作背景にはさまざまな要因が複雑に絡んでいるが、中でも、ベーム式を手にし、優れた技量を備えたフルーティスト岡村の存在が不可欠であった。戦前の日本楽壇を牽引した山田による技巧的で華やかな変奏曲から、邦人作曲家によるフルート独奏曲の歴史は幕を開けたのである。 |
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| 書誌情報 |
ja : 音楽研究 : 大学院研究年報 en : Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music 巻 37, p. 71-88, 発行日 2025-03-31 |
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| 出版者 | ||||||||||||
| 出版者 | 国立音楽大学大学院 | |||||||||||
| ISSN | ||||||||||||
| 収録物識別子 | 02894807 | |||||||||||