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アイテム
D. マスランカのTone Studies (2010) にみられる時間の表現に関する一考察 : ハーモニックリズムを中心として
https://doi.org/10.20675/0002000523
https://doi.org/10.20675/00020005231f56d0db-028e-4a3d-8514-d9cfdbbfcd3c
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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Item type | 紀要論文 / Departmental Bulletin Paper(1) | |||||||||||
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公開日 | 2024-06-01 | |||||||||||
タイトル | ||||||||||||
タイトル | D. マスランカのTone Studies (2010) にみられる時間の表現に関する一考察 : ハーモニックリズムを中心として | |||||||||||
タイトル | ||||||||||||
タイトル | A Study of David Maslanka’s Musical Expression of Time in Tone Studies (2010) : Focusing on Harmonic Rhythm | |||||||||||
言語 | ||||||||||||
言語 | jpn | |||||||||||
キーワード | ||||||||||||
主題 | デイヴィッド・マスランカ, Tone Studies, サクソフォン, ハーモニックリズム | |||||||||||
資源タイプ | ||||||||||||
資源タイプ | departmental bulletin paper | |||||||||||
ID登録 | ||||||||||||
ID登録 | 10.20675/0002000523 | |||||||||||
ID登録タイプ | JaLC | |||||||||||
アクセス権 | ||||||||||||
アクセス権 | open access | |||||||||||
著者 |
日下, 瑶子
× 日下, 瑶子
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抄録 | ||||||||||||
内容記述 | 本研究の目的は、アメリカの作曲家デイヴィッド・マスランカ(1943–2017)が作曲したTone Studies (2010) の分析によるハーモニックリズムの検証と言説の比較考察を通して、マスランカ後年の作品に見られる時間の表現を創出する音楽的な特徴について検討することである。日下(2022)はTone Studies (2010) について、フェルマータやカンマ、空虚5度やユニゾンの多用などの後年の作品特有のシンプルさをもつことを指摘したが、それ以上の詳細な分析はされていない。一方、日下(2022)はサクソフォン作品の初演者へのインタビューをもとに、後年の作品の演奏に関して、マスランカがテンポやフェルマータ、休符の音価の正確さを奏者に厳格に求めたという事実を多数確認した。これは、マスランカが後年の作品において時間の静と動を表現することを求めたからであると説明している。またKrause (2015) は時間の停止への探求と音質の探求は、作品独特の美学を理解する上で重要であること、和声、ハーモニックリズム、フレーズの長さ、オスティナートが時間を停止させている要素であると指摘した(Krause 2015, 86)。ハーモニックリズムについては、先行研究のマスランカのインタビューにおいて時間に関する内容とともに語られている。本稿ではマスランカの言説から、彼にとってハーモニックリズムとは、どれほどの時間ハーモニーが持続するかを意味するものであると説明した。 本研究ではTone Studiesに見られる時間の表現についてハーモニックリズムに重点を置いて分析を行い、2点指摘した。1点目はフェルマータやカンマ(ブレスマーク)によって創出される時間の静止の表現は、そこに至るまでのハーモニックリズムの変化などの表現によりその効果が強められているということである。ハーモニックリズムの不規則さや極端な長さの音価によって聴き手の予測の範疇を大きく超えた場合、聴き手の拍感やテンポ感が薄れる。そのため、後に現れるフェルマータ等がより効果的な時間の静止の表現となるのである。2点目は不規則で遅いハーモニックリズムの箇所から、コラールなどの伝統的な和声語法による速いハーモニックリズムの箇所へ到達するときには時間の静動だけではなく、安堵感や開放感をもたらすということである。コラールなどの伝統的な和声語法を用いている箇所は、聴き手にとって耳馴染みのある和声進行を用いていることが多く、不規則なハーモニックリズムや不安定なハーモニー、極端な長さの音価をもつ旋律などを特徴とする箇所を経てコラールに到達した場合には、聴衆に安堵感を与えたり、音楽を前進させるエネルギーをもたらしたりする場合がある。以上2点から、ハーモニックリズムの変化は必ずしもそれだけが時間の静止を感じさせる要因ではないということが言える。ハーモニックリズムの検討の際には、該当箇所のテンポやアルペジオなどの伴奏の形、フェルマータやカンマの有無を総合的に検討する必要性がある。ハーモニックリズムの変化に加え、極端な長さをもつ音価、フェルマータやカンマ、hold backの指示、休符などによって音価の拡張や突然の停止といった指示が共に用いられている場合に時間の静止がより一層創出されるのである。 |
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書誌情報 |
ja : 音楽研究 : 大学院研究年報 en : Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music 巻 36, p. 51-66, 発行日 2024-03-29 |
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出版者 | ||||||||||||
出版者 | 国立音楽大学大学院 | |||||||||||
ISSN | ||||||||||||
収録物識別子 | 02894807 |