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アイテム
ジプシー楽団におけるクラリネットの使用 : その導入の時代性と地域をめぐって
https://doi.org/10.20675/0002000520
https://doi.org/10.20675/000200052081761570-68db-4672-8e0c-95f435f627d4
名前 / ファイル | ライセンス | アクション |
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Item type | 紀要論文 / Departmental Bulletin Paper(1) | |||||||||||
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公開日 | 2024-06-01 | |||||||||||
タイトル | ||||||||||||
タイトル | ジプシー楽団におけるクラリネットの使用 : その導入の時代性と地域をめぐって | |||||||||||
タイトル | ||||||||||||
タイトル | The Use of the Clarinet in Gypsy Bands : Regarding the Era and Region of Its Introduction | |||||||||||
言語 | ||||||||||||
言語 | jpn | |||||||||||
キーワード | ||||||||||||
主題 | クラリネット, ジプシー楽団, ロマ楽師, 北部ハンガリー | |||||||||||
資源タイプ | ||||||||||||
資源タイプ | departmental bulletin paper | |||||||||||
ID登録 | ||||||||||||
ID登録 | 10.20675/0002000520 | |||||||||||
ID登録タイプ | JaLC | |||||||||||
アクセス権 | ||||||||||||
アクセス権 | open access | |||||||||||
著者 |
横井, 雅子
× 横井, 雅子
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抄録 | ||||||||||||
内容記述 | ハンガリー語圏で18世紀中ごろに知られるようになった「ジプシー楽団」と呼ばれる合奏形態は、最初期には弦鳴楽器のみで構成されていた。ジプシー楽団がハンガリー語圏内外の地域で広く認知されるようになる途上で編成が徐々に大型化し、後に標準的な構成楽器の一つとなるクラリネットも加わった。クラリネットはジプシー楽団の中では主ヴァイオリンの旋律を装飾的に埋める役割を担う他に、打弦楽器のツィンバロムと並んで超絶的な技巧を発揮することでジプシー楽団の名声を高める楽器でもあった。このような重要度の高さにもかかわらずその経緯についてこれまで詳しく語られなかった。ハンガリーにおいてクラリネットの普及の時期が明確でないことも一因と考えられるが、ジプシー楽団に含まれる楽器は、ロマたち自身の選択によるものでなく、楽団を受容してきた貴族や上流階級の嗜好に加え、時代的な背景も影響を与えたと推察される。しかし、ロマは「社会の正式な成員」と見なされにくかったこともあり、初期のジプシー楽団についての記録は散発的である。 本稿ではクラリネット導入の少し前から初期ジプシー楽団が中心的に活動を繰り広げていた北部ハンガリーの文化的背景、ジプシー楽団のパトロンとなった貴族とその宮廷楽団におけるクラリネットの導入、当時のクラリネット演奏者や楽器製作者にまず着目した。それにより、18世紀中ごろ以降にフェルヴィデークの社会との関わりの中でジプシー楽団の活動が活発になったのみならず、その後もこの地域の貴族社会の音楽的嗜好としてのクラリネット導入や楽器の入手の可能性がジプシー楽団にも影響を与え、次第にクラリネットがジプシー楽団の構成楽器として定着していったと推察した。 他方、ハンガリー人が伝統音楽において愛好してきた気鳴楽器であるドゥダとの比較を通しては、ドゥダが第一に農村、特にハンガリー南部を中心に受容されてきた楽器であること、音質、音量の点でジプシー楽団の他の弦鳴楽器との相性がよくないこと、加えてその音響的な特質により低いイメージを持たれてきた楽器であることを指摘した。ドゥダとクラリネットとでは受容する層が異なるだけでなく、地域性、音楽性の面でも相違が大きく、ドゥダがハンガリー人に愛好されながらも、ジプシー楽団には取り入れられなかった理由を確認した。 クラリネットはジプシー楽団においては補助的な役割を果たしつつも、旋律を装飾的に彩り、即興的に技巧を誇示する場面も与えられ、ツィンバロムと似た役回りを演じる。しかし導入された時期を検討すると、その当時のツィンバロムはダンパー・ペダルを有しないタイプのみが使用されていた。そのため、複数の音の残響が混じり合い、音楽的には限定的な役割しか果たせなかったと思われる。クラリネットが1820年代末にジプシー楽団に初めて含まれ、それ以降、ジプシー楽団の構成楽器として定着し得た理由は、クラリネットのみが旋律の装飾と即興的な技巧を効果的に発揮し得る楽器であったからと推察した。 |
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書誌情報 |
ja : 音楽研究 : 大学院研究年報 en : Ongaku Kenkyu : Journal of Graduate School, Kunitachi College of Music 巻 36, p. 1-17, 発行日 2024-03-29 |
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出版者 | ||||||||||||
出版者 | 国立音楽大学大学院 | |||||||||||
ISSN | ||||||||||||
収録物識別子 | 02894807 |