@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00001983, author = {樋口, 鉄平 and Higuchi, Teppei}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu}, month = {Mar}, note = {ジョルジュ・アペルギス(1945-)は、ギリシアに生まれたフランスの作曲家であり、解体言語を用いた声楽作品や、ミュージック・シアター(身体、言語、照明等の舞台上の要素を音楽と同等に扱い、従の演劇的なドラマ性を排し構築された舞台作品)による実験的な作品で知られる。 アペルギスは1977-78年にかけて、声のソロのために書かれた全14曲の《レシタシオン》を作曲する。本研究ノートは、アペルギスの《レシタシオン》の成立過程とその美学的背景について論じる。アペルギスはマウリシオ・カーゲル(1938-2008)とジョン・ケージ(1912-1992)の二人の作曲家からの影響を明らかにしている。本稿の目的は、カーゲル、ケージとの比較-カーゲルに連なるミュージック・シアターの系譜と、ケージに連なる音楽と言語の関わりの系譜との比較-を通じて、アペルギスの登場以降、創作の領域において作曲家が引き受けることの可能になった言語と音楽の関わりにおける可能性を明らかにすることにある。 第1節では、作曲家アペルギスについて簡潔に説明し、本稿の研究目的について述べる。 第2節では、ミュージック・シアターの系譜上におけるアペルギスの創作と《レシタシオン》の位置付けについて論じる。アペルギスへのカーゲルによる影響、《レシタシオン》に至るまでのアペルギスのミュージック・シアターの創作、アペルギスとカーゲルのミュージック・シアターの相違点とアペルギスによるカーゲルへの批判を検討した後、ミュージック・シアターの系譜上における《レシタシオン》の位置付けについて考察する。 第3節では、第2節において確認することのできた《レシタシオン》における特殊な言語を用いた作曲技法を、アペルギスがカーゲルと共に大きな影響を受けたもう一人の作曲家、ジョン・ケージの言語活動と照らし合わせながら検討する。ここでは、ケージ以降の現代詩人たちと重なり合う領域において言語を自らの作曲技法に統合し、更にこれらの技法を、聴衆を巻き込んだ社会性を伴う領域にまで昇華させるアペルギスの創作の姿を確認することができる。すなわち、アペルギスはカーゲルとケージの強い影響の下に創作を開始しながらも、現代の詩人や舞台芸術をも範疇に捉えることのできる自らの美学を《レシタシオン》において確立したのである。 現在のアペルギス研究は、とりわけ21世紀に入ってから、フランスを中心に急速に進んだが、アペルギスが度々ジョン・ケージからの影響を公言しているのにも関わらず、アペルギスのケージに連なる系譜的言及は極端に少ないと言える。執筆者が本稿において行なった《レシタシオン》に関する系譜的研究によって、アペルギスの創作が捉えている幅広い射程の一角が明らかになることが期待される。}, pages = {119--129}, title = {ジョルジュ・アペルギスの《レシタシオン》の成立過程とその美学的背景}, volume = {30}, year = {2018}, yomi = {ヒグチ, テッペイ} }