@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00001979, author = {鈴木, 佳都紗 and Suzuki, Kazusa}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu}, month = {Mar}, note = {ヨハン・セバスチャン・バッハ(Johann Sebastian Bach 1685-1750)の《無伴奏チェロ組曲》(BWV1007-1012)は現代でこそチェロの代表曲と言われているが、チェロが主に通奏低音の役割を担っていた時代に作曲された楽曲である。バッハによってチェロが独奏楽器の地位に高められた画期的な作品であるにもかかわらず、バッハの時代から時を経ても芸術作品としての価値はあまり見いだされず、主に一部の教育用として使われるだけの忘れ去られた楽曲であった。それを芸術作品として復活させたのが20世紀を代表するスペイン・カタルーニャ地方出身のチェリスト、パブロ・カザルス(Pablo Casals 1876‐1973)であった。 カザルスは、12歳の時にこの楽曲と出会って以来、毎日練習し、生涯に渡りこの楽曲を研究し続けた。カザルスは1927年、アンナ・マクダレーナ・バッハの筆写譜ファクシミリ付きの《無伴奏チェロ組曲》が、パリのサラベール社から出版されると、それに基づき手稿譜の研究を始めた。その中でカザルスは明らかなミスを修正するとともに、和音を適宜追加したり、演奏不可能な音を省いたりするなど、演奏者の立場からより正しいと思える方法を模索した。その後、カザルスは1936年から、弟子のルドルフ・フォン・トーベル(Rudolf von Tobel 1903-1995)と共に実際にチェロを演奏しながら、注釈付きで《無伴奏チェロ組曲》の詳細なチェックを始めた。トーベルは、1980年、それらのメモに基づき、カザルス解釈版をまとめ上げた。 本論文では、カザルスがこの楽曲を芸術作品として発見した経緯や、カザルスがどのような影響を受け、またどのような影響を与えたのかを検討する為の予備的考察として、カザルス解釈版《無伴奏チェロ組曲》に至るまでの出版楽譜、特に旧バッハ全集以前の楽譜の状況を中心に考察を行った。 旧バッハ全集以前の出版楽譜には、曲全体のテンポ記号や弓使いなどはそれぞれ様々な特徴があり、ほとんどの楽譜に記載されていたが、曲に対する細かいニュアンスについてはどの楽譜にも書かれていなかった。その他に、オリジナル楽譜と音の違いがいくつか見られたが、違いのある箇所は同じ場所で多く見られた。 カザルスが《無伴奏チェロ組曲》を芸術作品として発見する以前にも楽譜がいくつか存在していることが判明し、忘れ去られた楽曲だったとはいえチェリストに全く存在が知られていない楽曲ではなかったことを今回跡付けた。しかしながら、ドッツァウァーという現代においても有名な人物が校訂している楽譜があるにも関わらず、カザルスが演奏会などで聴くことは一度もなかったといわれており、また当時においては演奏されるのは一部分のみであった為、やはり教育的な楽曲としての価値でのみ見られていることが多かったのではないかという結論に至った。}, pages = {69--82}, title = {J.S.バッハ《無伴奏チェロ組曲》の《旧バッハ全集》以前の出版楽譜について : P.カザルス解釈版をめぐる一考察}, volume = {30}, year = {2018}, yomi = {スズキ, カズサ} }