@article{oai:kunion.repo.nii.ac.jp:00001895, author = {桃井, 千津子 and Momoi, Chizuko}, journal = {音楽研究 : 大学院研究年報, Ongaku Kenkyu}, month = {Mar}, note = {本論では旋法性による楽曲を分析するために、旋法の同定と旋法の関係を叙述する方法を提案する。 一般的に旋法としては、ヨーロッパの教会旋法がよく知られているが、20世紀以降の現代音楽や諸民族の音楽には、構成音やそれらの配置が異なる、多くの旋法が存在する。 これまでに筆者はこれら旋法の構成音やその配置を把握する方法として、サークル表記を提案してきた。この方法で、旋法の分類ならびに変化音を含んだ旋法などの現象が分析可能となった。 このサークル表記とは、オクターヴ内の12音をサークル状に配置したもので、各旋法はその基準音をC音に置換して表記される。このような表記方法の採用により、各旋法の構成音のみならず、それらの配置の相違や共通性などが容易に明示可能となる。 本論ではこれらのサークル表記法を用いて旋法の分類を行い、さらに構成音が下方または上方変位した変化音を含む旋法などの諸現象が分析可能となった。しかし旋法性による楽曲分析を行うには、調性音楽や和声論によって今日一般的に用いられる分析概念に代わるような、旋法性による新たな分析概念が必要である。そこで表記法を活用し、旋法の個別的な特徴と旋法間の特徴的関係を明らかにした結果、「同定音」と「特定音」、「鏡像関係」と「同等関係」という4つの分析概念を提案するに至った。 「同定音」とは構成音が半音階的に変化し、さまざまな旋法の派生が見られるが、派生音を含むすべての旋法に含まれる音のことである。この音の確認によって、所属の旋法系が明らかになった。「特定音」とは旋法系を特徴づける音で、たとえばCが基準音のイオニア系旋法では、B音(シ)となる。このように同定音と特定音によって特徴づけられる旋法性の各サ-クルは、固有の和音形態も確認できた。 異なる旋法間の関係としては「鏡像関係」と「同等関係」が指摘でき、例としてイオニア系とフリギア系の各サ-クルが前者の関係、イオニア系、ドリア系、ロクリア系の各サ-クルが、減音程構成サ-クルの1音欠如と同等関係を持つ。 本論では「謎の音階」として知られる音階(旋法)対象として、分析的諸概念の妥当性を検討した。その結果、従来では「謎」として言及された特性は、ほぼ各旋法の特定音で構成されているサークル形態であることや、半音が連続する特殊性が分かった。 今後の課題としては、各旋法の非構成音によるサークルを用いることで、分析としてより妥当性の高い結果を得ることである。}, pages = {83--96}, title = {旋法の同定に関する一試論 : 変化音ならびに特定音を中心として}, volume = {29}, year = {2017}, yomi = {モモイ, チズコ} }